日本酒のいろは①〜日本酒について知ろう〜
1.日本酒のいろは①〜日本酒について知ろう〜
初めの3本の記事では「奈良の日本酒」について取り上げました。第4回から2回に分けて日本酒について知っておくとより楽しめる知識を解説していきます。吟醸、磨き、日本酒度など、よく聞くけどあまり分かっていない、そんな方もいらっしゃるのではないでしょうか。「ならわし」で取り扱っている日本酒についても商品ページの商品詳細で様々な情報を掲載しています。いろいろな日本酒を飲み比べながら違いを舌で感じてみるのも面白いのではないでしょうか。
2.特定名称酒〜純米?吟醸?〜
「特定名称酒」と聞いてもピンとこない方もいるとは思いますがよく聞く「純米大吟醸」とか「純米酒」といった名称です。こういった名称は「原料」と「米の精米歩合(磨き)」度合いによって分類することが出来ます。以下が分かりやすく図解した表で、さらに解説を加えます。
①原料の違い
種類の分け方の1つ目は「純米酒か本醸造酒か」です。「純米」と名のつく日本酒は「米・水・麹」が主な原料です。醸造アルコールを添加していないので旨味やコク、ふくよかさなどの特徴があり比較的濃醇な味わいの日本酒が多いです。
では、純米酒でない本醸造酒の原料は何かというと「米・水・麹」に加えて「醸造アルコール」が入っていることがわかります。醸造アルコールを入れることによって吟醸の香りが立つようにしたり、劣化を防ぐことが出来ます。なお、醸造アルコールを原料の一部としたものについては、当該アルコールの重量(アルコール分95度換算の重量による。)が、白米の重量の10%を超えないものに限るものとする」と、量が定められています。
②精米歩合(磨き)の度合い
種類の分け方の2つ目は「精米歩合(磨き)」の度合いです。日本酒を醸造する際にはお米を削ります、削りの度合いによって「吟醸」「大吟醸」と分類されていきます。一般には磨き率が高い(=削っている部分が多い)ほどすっきりとした味わいになります。では精米歩合が比較的低い(=削っている部分が少ない)お酒はおいしくないのか、というと決してそうではありません。米の旨味を感じられるギッシリとした味わいになります。
③吟醸とは
吟醸とは、その字の通り吟味して醸すこと。日本酒の定義で言えば「精米の歩合を60%以下までにし、低温で発酵させる吟醸造りという方法で醸造された日本酒」のことを言います。
精米歩合が60%以下のものは「吟醸」、50%以下のものは「大吟醸」という名称が付きます。この「吟醸」とは②でも書いたように米の「磨き度合い」による分類です。お米は下の図にもあるように一番外側が糠(茶色い部分)、その中にタンパク質、ビタミン、脂質、中心部がデンプンで出来ています。このタンパク質、ビタミン、脂質は酒の雑味のもとになりますが適量であれば米本来のうまみを引き出し濃醇な味わいになります。「大吟醸」は「吟醸」よりさらに磨かれており、雑味のない、クリアな味わいになります。一般的に精米歩合が高いお酒の方が手がかかっており、比較的高価格な傾向にあります。
④味わいの違いと銘柄
・本醸造・・・クセがなく淡麗でサラリとした味わいが特徴
・吟醸・・・華やかな香りとすっきりとした味わいが特徴
・大吟醸・・・すっきりと滑らかな飲み口で、フルーティで華やかな吟醸香が特徴
・純米酒・・・米本来の旨味やコクのある味わいが特徴
・純米吟醸・・・クリアな味わいと華やかな香りのバランスの良さが特徴
・純米大吟醸・・・雑味がなくクリアでフルーティーな吟醸香が特徴
⑤まとめ
このセクションではよく聞く特定名称酒の分類方法について解説しました。特定名称はあくまで原料、精米歩合によって決まるもので、単純に醸造アルコールを使用しない「純米」で米をよく磨いた「大吟醸」のお酒が美味しいというわけでもありません。それぞれのお酒に個性があるので、自分の好きな傾向を見つけてみてください。
3.いろいろな飲み方〜お酒はぬるめの燗がいい!?〜
日本酒の飲み方といえば冷酒、熱燗なんて聞いたことがあるかと思いますが実際には色々な飲み方があります。日本酒にも「おすすめの飲み方」はありますが「正解の飲み方」はありません。同じ銘柄でも温度や飲み方で色んな味わいがあるので、自分好みの飲み方をぜひ探してみてください。
【温度による味わいの違い】
ここでは代表的な飲み方「冷や」「常温」「燗酒」についてそれぞれの特徴を解説していきます。
①冷酒(5℃〜15℃)
お酒を冷蔵庫で冷やして飲むのが冷酒です。冷やすことによってすっきりとした味わいになります。クリアな味わいの大吟醸酒(精米歩合が高い)お酒がおすすめです。飲んでいる間に少しずつ温度が変わっていくので温まっていく中で味わいの変化も楽しむことが出来ます。
②常温(25℃〜30℃)
冷やさずそのままの温度で飲むのが常温です。季節によって温度は変わりますが冷酒より香りが立ち、米の旨味を感じることが出来ます。常温ではどんな種類のお酒もそのままの味わいが感じられるのでおすすめです。
③燗酒(35℃〜55℃)
温めて飲むのが燗酒ですが、その温度の幅は広く熱い温度からぬるめの温度まで違った味わいが楽しめます。一番香りが立つのは燗酒ですが、あまり熱くしすぎても香りが飛んでしまうので適度な温度で飲むのがおすすめです。純米酒系が米のうまみと香りが感じられます。温度が下がっていくのでこちらも味わいが変わっていくのを楽しむことができます。
【酒器による味わいの違い】
日本酒と入れば徳利とお猪口、枡酒で飲むのを思い浮かべますが、最近は「ワイングラスでおいしい日本酒アワード」なども開催されておりその味わい方も様々です。例えば、大吟醸酒などはワイングラスで飲むと香りをより感じることが出来ますし、枡酒で飲めば木の風味と相まってまろやかな味わいになります。また酒器の材質(グラス、錫、磁器)などによっても味わいが変わります。
4.まとめ
今回の特集では「日本酒について知ろう」のテーマの第一回として「特定名称酒」、「いろいろな飲み方」にフォーカスしていきました。日本酒は多くの飲み方があるので、一つのお酒でもたくさんの風味や味わいを感じることが出来ます。ぜひ自分好みの飲み方を見つけてみてください。
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