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日本酒とおつまみ ①〜蘇と菩提酛で歴史を感じて〜

 8月よりお届けしております「日本酒特集」。 これまで奈良の日本酒の特徴をお話ししてきましたが、そろそろ日本酒を飲みたくなったという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 今回は『日本酒とおつまみ』と題し、「ならわし」からオススメの日本酒とおつまみのセットをご紹介します。 

1.菩提酛(ぼだいもと)

 オススメの日本酒に先立ちまして、菩提酛(ぼだいもと)のご紹介をさせてください。皆さま、「菩提酛」という言葉をご存知でしょうか?

 「菩提酛」とは室町時代に奈良県の正暦寺で編み出されたとされる伝統的な酒母(=酛)のことです。その特徴は、そやし水を通常の仕込水の代わりに用い、初期の段階から酸性条件下で酵母を育成するという工程にあります。
 そやし水とは、蒸す前の生米を水に浸し、自然の乳酸発酵を誘発するか、適切な乳酸菌添加し、この働きにより中性域の仕込水を25℃以上の高い温度帯で乳酸発酵させることで、短期間(2~7日)でphを4.0未満の酸性域に変化させた乳酸酸性水のことです。

 しかしながら、菩提酛は製造工程が煩雑であることと製造安定性に欠けることより、明治時代に開発された速醸酛が普及し、大正時代に消滅したといわれています。その後、1996年に奈良の蔵元や関係者を中心に「奈良県菩提酛による清酒製造研究会」が立ち上げられ、再現・復活することとなりました。

  現在では、奈良県内8つの蔵元が毎年正暦寺と共に菩提酛を造り上げて持ち帰り、それぞれの蔵で持ち帰った酒母の上にさらに仕込みを重ね、それぞれの蔵の菩提酛純米酒を醸します。各蔵によって造られた菩提酛純米酒は、蔵の技術技法と重ね合わさることで蔵ごとの個性あふれる味わいになるのです。

2.「ならわし」取扱『菩提酛純米酒』

菩提酛は、清酒発祥の地である奈良において、その原点となる日本酒であり、ならわしでもお買い求め頂けます。その中から、今回は2つのお酒をご提案させて頂きます。

【倉本酒造】菩提酛 つげのひむろ

 
 さらりとしていて、のどを心地よく滑り落ち、その後、口の中に余韻が漂います。切れの良さに、ほのかなまろやかさがあり、バランスの良い酒質です。

【北岡本店】やたがらす 純米 菩提酛
 
 控え目でほのかに青草の香りが感じられますが、口に含むと杏の様な濃厚な甘さと酸味が口いっぱいに広がります。喉元を過ぎるとさっぱりと切れ、心地よい甘みとベリー系の酸味のニュアンスが残り、もうひとくち飲みたくなる味わいです。

3.蘇(そ)・・・日本最古のチーズ

 近年SNS上でレシピが話題になった「蘇(そ)」。

 「蘇」とは古代日本で作られていた乳製品の一種です。文献では、7世紀末の文武天皇時代に天香久山の南で飛鳥最大の蘇が作られた記録が残っています。当時の貴族や高級官人は、賓客をもてなすためにこの「蘇」を高級食材としてお出しされたと言われています。

 作り方は全乳の牛乳を加熱しながら練って、どんどん煮詰めていくというもの。最初は真っ白な牛乳も数時間加熱するとだんだん薄く茶色に色づき、煮詰まった頃には濃いキャラメル色になりねばねばとしています。そのねばねばした状態のものを木箱に流し込み冷蔵庫で冷やし固めて完成します。  

4.「ならわし」取扱『蘇』

【みるく工房飛鳥】飛鳥の蘇2個セット

 「飛鳥の蘇」ができたのは今から30年以上前の昭和62年。奈良シルクロード博の開催に合わせて、奈良県の特産品開発に励んでいた西井牧場と、当時奈良国立文化財研究所飛鳥資料館の猪熊先生が一緒に開発しました。

 ほのかに甘く、風味もまろやか。現代のチーズと比べると格段にシンプルで牛乳嫌いな人でも食べやすいです。

日本酒の原点となる菩提酛と、日本最古のチーズと言われる蘇。奈良の古から引き継がれてきている食文化を合わせてご堪能頂ければと思います。

5.まとめ

 日本酒とおつまみ特集第一回では「菩提酛」と「蘇」について取り上げました。ぜひ菩提酛純米酒と蘇で歴史を感じてみてはいかがでしょうか。

「ならわし」日本酒一覧はこちら

日本酒とおつまみ ①〜蘇と菩提酛で歴史を感じて〜